アンパンマンって名前、よく考えると、不思議な日々がする。あれって、「パン化」と「マン化」の繰り返しなんですよね。
順を追って説明しましょう。
あるところにアンがあったと。それをパン化したものがアンパンじゃないですか。ここまでは、まあ分かる。
そしてアンパンがあったと。それを「マン化」、つまり人間化したものが「アンパンマン」。これがアンパンマンの成り立ちです。
そして町のパン屋をのぞくと、このパン化とマン化の連鎖は、もう一歩先に進むわけです。
そう、パン屋にある、あのアンパンマンにそっくりなパン。
あれは、これまでの命名規則に従うと、「アンをパン化したアンパンをマン化したアンパンマンをさらにもう一度パン化したもの」なので、「アンパンマンパン」だと言えるでしょう。
パン化とマン化の連鎖、その末に産み出された化け物パン、それがアンパンマンパン。
考えてみて下さい。
ただの食物だったアンパン。アンパンに生命を与え、アンパンマンとしただけでも、神への冒涜感があります。
そして、それだけでは飽き足らず、一度与えた生命を奪い、元のパンに戻してしまう。まさにジャムのエゴ。
このパン化とマン化、もっと進めて行ってもいいと思います。映画化できそうです。
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時は20XX年。
アンパンマンパン、をマン化した、「アンパンマンパンマン」が、マッドベーカリー、ジャムおじさんの手によって生み出される。
「自分とは何者か?」
アンパンマンと共に戦う中で、自我が揺らぐアンパンマンパンマン。
自分は彼の劣化コピーでしかないのか?
悩む彼は、もう戦いたくない、何も考えたくない、そんな思いから、自分自身を「パン化」してしまう。
こうして、「アンパンマンパンマンパン」が誕生した。
パンとなり、生命を失った彼を救おうと、仲間達は更に彼を「マン化」し…
戦い、傷付くたびに、自傷行為としての「パン化」と仲間達による「マン化」の中で、彼の自我は薄まってしまう。
繰り返される劣化コピーの末、もはや原型を留めない醜い顔になってしまった。
それでも彼は戦い続ける。
戦いで傷つき、大地に膝をつこうとしたその瞬間。
彼の耳に、聞き慣れた女の叫び声が聞こえる。
「アンパンマンパンマンパンマンパンマンパン!新しい顔よ!!」
違う…俺は…俺は…こんな顔じゃない…俺は…
劇場版 それいけアンパンマン!
〜アンから生まれたダーティヒーロー〜