この記事は後編です。読んでいない方は前編を先にご覧ください↓
占い師のふりをすると決めた僕は、見知らぬ人と1:1でチャットができるChatPadを立ち上げて、さっそく占い師ごっこを始めた。
僕>こんにちは
相手>こんにちは
僕>あなた、ひょっとして大学生ですか?2年生か3年生ぐらい?
相手>はい。どうしてわかるんですか?
僕>あと、男性ですよね。
相手>はい。
こんな調子だ。なぜ大学生か、というと、昼間にこんなチャットサービスをやっている時点で、だいたい大学生なのだ。高校生は学校に行っているし、社会人は働いている。大体、暇を持て余した大学生しかいない。学年も言うと信ぴょう性が上がる。もし外したら、別の人に対して、同じことを最初からやり直すだけだ。
僕>自分、霊感が強いんで、なんとなくわかるんですよ。
男>本当に?
僕>あなた、今悩んでますよね。恋愛のこととか…
男>・・・はい
大学生は大体恋愛で悩んでいるのだ。恋愛、将来、健康。大体みんな、このあたりに悩んでいる。適当かませばいいのだ。
僕>そうですよね。最近、辛いことありましたよね。
男>もしかして、部活での…
僕>そう、それです。
男>あれはほんと辛かったです。あいつがあんなこと言うからこじれちゃって…
僕>あの状況で、あの言い方はないですよね。
男>はい…
「そう、それです」じゃねぇよ、と言う話だが、こうやって引っ掛かる人もそこそこ居た。適当にカマをかけると、勝手に話し出す人がいるのだ。そして、適当に相槌を合わせておくと、それっぽく会話が成立したりする。そんなこんなで、適当に話を合わせていくと、信じてしまう人が出てきた。
男>嘘でしょ??全部当たってる。本物の占い師なの…?
僕>ふふふ。そうでしょう?大体わかるんですよ…あなたのことは…
本当に信じられてしまった。
信じ切った人が悩み相談をしてくるときもあった。
男>その…例の恋愛の件なんですけど、どうしたらいいでしょうか?
「例の恋愛の件」が何なのかは全く分からないのに、アドバイスのしようはない。ここは占い師っぽいことを言うことにした。
僕>あの件ですか。私に聞くまでもないでしょう。
僕>「どうしたらいいか?」の答えは、とっくに自分で分かっているはずですよ。
男>あ、、
男>ありがとうございます!そうですよね!
男>もやもやが晴れたというか、本当すっきりしました。ありがとうございました!
「こいつ馬鹿なんじゃないのか」と思った。あの件って何だ?結局どうするんだ?教えてくれ。何も分からないまま相談に乗れてしまった。
それにしても、世の中の占い師もこんな感じのやりとりで感謝されてるんだろうな、くだらないな、と思った。
なんか申し訳なくなったので、ネタバラシをしておく。
僕>ごめん、本当のこと言うと、僕は占い師でもなんでもないんだ。
男>え?
僕>誰にでも当てはまることを行ったり、相手にしゃべらせたりして、適当に話を合わせているだけだよ。あとは、何人も同じようにトライして、偶然沢山当たったのが君だったってだけでさ。君、騙されやすいようだから、気を付けたほうがいいよ
男>(退出しました)
当時の僕は、根っこから性格が腐っていたので、これを見て、モニターの前でケタケタと笑っていた。
冷蔵庫から金麦のロング缶を取り出して、グビグビ飲んだ。最高にうまい。人をだまして飲む金麦は、最高にうまい!
勝利の美酒と言うやつである。今思うと、本当に悪趣味なことをしていたと思う。申し訳ない。
それにしても、占い師のふりって、案外難しくないんだな、と感動した記憶がある。
当時思ったのは、「占い師のふりをし続けて、スキルが上がっていくと、相手をだますだけじゃなく、自分もだましてしまうんじゃないか。」ってことだ。
つまり、人をだまし続けているうちに、本当に自分には霊感があると思い込んでしまうんじゃないか?ってことだ。
自分には霊感がある、と思いこんでしまった人が、”本物の占い師”になってしまうのかもしれない、と僕は思った。
以上です。Twitterやっています。よろしくお願いします。
みんなが学生時代に、学業なんかにうつつを抜かしている間に、僕は麻雀とパチンコに、必死になって取り組んで来たんです。
そんな奴らに負けるわけには行かないんです。— ぶるいぬ (@blblinin) November 22, 2020