僕は妻の愚痴を聞くのが下手だ。いや、「下手だった」と言うべきだろう。なぜなら、結婚して二年、僕は愚痴を聞くのが上手になったからだ。もはや愚痴聞きマシーンと化した僕に、怖い愚痴などない。パートナーの愚痴を聞くのが苦手という人に向けて、このブログをささげたい。これは、不器用な男が愚痴を聞けるようになるまでの物語である。
さて、僕は本当に愚痴を聞くのが下手だった。ただ聞くことができず、どうしてもアドバイスをしてしまっていた。どうやらそうじゃないらしい。必要なのは、「同意」と「共感」。「反論」と「解決策」ではないらしい。度重なる衝突を経て、僕は愚痴を聞くときに、自分の心を押し殺し、「同意」と「共感」を前面に押し出すことにした。
さて、押し殺そうとするものの、たまに抑えられないことがあった。それは、誰かの能力不足を責めるような愚痴だ。責められている側に感情移入してしまい、耐えられなくなってしまうのだ。しかし、このままではいけない。次の策に打って出た。
僕は、愚痴を聞くときは自動応答モードに入ることにした。まじめに受け止めるから辛くなる、聞かずにうなずけばよい。反射的に、相手の言ったことをそのまま繰り返す。
私「辛い。かーいそう。(自動応答)」
奥さん「?!」
このように、出てきた単語を理解せずに復唱するため、誤ったリアクションを繰り返すことがあった。奥さんもその様子に気づいたのか、自動運転モードに入ったとみるや否や、その脆弱性をついてくるのだ。
僕「バッグ、買ってあげる(自動応答)」
後輩の書いた酷いプログラムを、厳しく責めることができない。例えるなら、どんなクソコードを書かれても、「これはうんちですよね?」ぐらいの上品さで指摘してしまう。後輩は後輩で、「いや、これはうんちじゃなくて、ティラミスじゃないですかね?」みたいな返しをしてくるし、本当に難しい。
— ぶるいぬ (@blblinin) July 28, 2017