月が綺麗で結婚を決意した話

結婚を決意した夜のことを、ふと思い出した。せっかくだし、文章にして残しておこう。

僕は元々、結婚はしたくない派だった。縛られたくないし、色々と嫌だったのだ。一方の奥さん、というか当時の彼女は、人生の中で一度は結婚したいと思っているタイプで、ある日を指定して「この日までに結婚をしないのであれば、次の人を探しにいくので別れます」と言っていた。(本当にしっかりしている)

その期日の半年ぐらい前に、夜道を一人で僕はぶらぶらと歩いていた。

ふと空を見上げると、月が綺麗だった。ものすごくくっきり見えたのを覚えている。月を見て少し感動したので、誰かに見せたくなった。「気持ちを共有したい」というやつだろうか。

「ああ、○○ちゃん(奥さん)に見せたいな」と自然と思った。でも、その場には僕しかいなくて、話す相手がいなかった。

月なんて、写真でとっても感動は伝わらない。

今この瞬間に見える、あのくっきりとした綺麗な月は、一緒にいないと共有できないんだなと思った。

その時僕は、急に寂しくなったのだと思う。

「月が綺麗だった」ぐらいの、まあどうでもいいけど、ちょっと素敵なことがあった時に、このままだと、期限が来て、あの子と共有できなくなるのか、と思った。期限を切られてたから、生々しくイメージをしたのだと思う。

「そんなのあり得ない!」と思った。これから生きていく中で、色々な、ちょっとしたことが起きるだろう、話したいこと、共有したいことが起きるだろう。でもそれをあの子と共有できないなんて、そんな人生あり得ないな、と思ったのを覚えている。

僕は結婚に対してすごくひねくれた見方をしていた。でも、ややこしいことは横に置いておいて、素直に、単純に、僕はあの子とずっと一緒にいたいんじゃないか!横にいてくれない人生なんて考えられない!とその時、気づいたのだと思う。

すると突然、「結婚するっきゃない!」ぐらいの熱い気持ちが込み上げてきた。僕はいてもたってもいられず、夜道を全力で走った。確か結構全力で走った気がする。自転車だったか、足で走っていたかは思い出せない。でもなんか全力で動いていた記憶がある。(まあどちらでもいい。映画化するときは、”絵になる”方を監督に選んでもらおうと思う)

ただ、そのままプロポーズ・・・とまではいかず、ちゃんと指輪を買ったり、計画を練ったり、と、翌日からしたような記憶がある。(興奮して眠れなかった記憶もある)

とまあ、これが僕が結婚を決意した夜の話だ。ああ、今思うと、「月が綺麗で結婚を決意した」という話だったのか。夏目漱石っぽい。ブログを書くまで気づかなかった。

「月が綺麗ですね」とこれからもずっと言いたくて、僕は結婚を決意してたのか。あの夜の月が綺麗で本当によかった。ブログを書いて泣いてしまうとは思わなかった。

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