仕事と休暇、ビバ人生。

いやぁまいった。仕事が大変で疲れてしまった。

私が勤務している会社は、本人の能力以上の仕事を与えて伸ばすスタイル。ストレッチ&ストレッチ。1日12時間労働。続くオーバーワーク。精神的負荷が強い。

ついに、朝の出社前に吐いてしまった。

マルチビタミンの錠剤を呑み込めず、直前に飲んだプロテインを吐き出したり、会社の200m手前で軽く吐いたりした。結構キテる。健康のために飲んでいるものを吐き出すなんて、なんか皮肉な話だ。

伸ばしきられたゴムのように疲れ果てた僕を見かねて、「次の有給休暇は、完全フリーでのんびりしたら?」と妻が言ってくれた。生後4か月になった娘の世話は、奥さんに任せて、僕は一日のんびりすることにした。

何に使うか考えたのだけど、「おいしいものをたくさん食べて、よく運動する」ことにした。特に、おいしいものをたくさん食べることは、今の僕にとって大きな意味を持つ。

この3か月、減量を続けてきた僕は、脂っこいものを徹底的に避けてきた。昼ご飯は栄養素がはっきりわかるコンビニ食。そば、鶏むね肉のサラダ、そしてミルクプロテイン。家に帰れば、黙っていても、晩御飯には皮が剥がされた鶏むね肉が出てくる。揚げ物を食べた記憶が思い出せない。そんなこんなで体重は74kgから69.5kgに。ちょっと脂がのったおいしいものが食べたい。

ということで、楽しみにしていた休暇が始まった。

朝食としてファミリーマートの麻婆豆腐を食べる。おいしい。

目覚めた娘を保湿する。保湿クリームを塗りたくる。顔を近づけるとニコっと笑うのが可愛い。わが子と言うのはこんなにかわいいものかと思う。この子には幸せになって欲しい。この瞬間は、自分の人生を強く肯定したくなる。まさにビバ人生である。

その後、移動して美容室へ行く。頭を人に洗ってもらうのってなんであんなに気持ちいいんだろう。僕に頭を洗われる娘もこんな感じなんだろうか?と思いつつ、心の中で「おぎゃあ、おぎゃあ」と一人で赤ちゃんの気持ちになって遊ぶ。楽しくなってきた。カットされてかっこよくなる。うれしい。ビバ人生である。

昼食。梅田に出る。だが、3か月の減量を経て、僕はもう何を食べたいのかわからなくなっていた。ふらふら、さまよい歩いていると、ケンタッキーが見える。そうだケンタッキーにしよう。普段なら絶対食べない。今日しかない。

オリジナルチキンを二つ。「セットはいかがですか?」の声に食い気味にYESと答える。セットはいかがですか?Say YES。ポテトとペプシNEXを注文。普段、揚げ物も食べず、鶏皮が自動的に剥がされる国に住んでいる、皮なし鶏むね肉王国に住む人間にとっては、ケンタッキーの揚げた鶏の皮の部分というのは刺激が強すぎる。

手をベトベトにしながら食べる。ああこれ、いっこうにかまわない奴だ、と思いながら無心で食べる。無だったと思う。悟り開きかけるレベルで無だった。一気に食べきった。ビバ人生。このあたりから、体に力がみなぎるのを感じ始めた。

ちなみに、この話を後で奥さんにしたところ、「悟りを?ケンタッキーの鶏皮で?」とのリアクションだった。やはり我が妻は、どこかセンスを感じさせる物言いをする。

ケンタッキーの後には寿司屋に入った。私はスシローに全幅の信頼を置いているが、今日は回らない方の寿司を食べる。カウンターについたら、隣がおじさんとキャバ嬢だった。同伴ってやつですか?システムがわからないけど、隣の僕も同伴しているような気分になる。おこぼれ同伴?ありがとうおじさん。

ふわっと少しテンションが上がったところで、かんぱち、まぐろ、うなぎ、中トロ、かわはぎ、かいばしらなど、どんどん注文する。うーんおいしい。スシローも本当に素晴らしいけど、たまにはこういうお寿司もいいよね。ビバ人生。

疲れた体を癒すために、Dr.ストレッチに行く。おそらく博士号は取得していないトレーナーの方々が出迎えてくれた。大学は出ているようだった。それならバチェラーストレッチじゃない?などと、工学の修士号を持つマスターストレッチの僕は思う。

「筋力トレーニングしてますか?」などとトレーナーに聞かれる。触れば分かるレベルには体が変わってきたらしい。うれしくて僕は「はい!」と、キャンキャン吠える子犬のように答える。トレーナーはさらに「肉体労働ですか?」と聞いてくる。僕は、「1日12時間のデスクワークは、もはや肉体労働だよな」などと思い、これにもやはり「はい!」と答える。嘘は良くないけど楽しかった。それにしても、すっごいからだを伸ばされる。さすがDr.ストレッチ。「仕事でも、プライベートでもストレッチされてるな、ハハハ」などと思いながら体をゆだね、思いっきり伸ばす。これもまたビバ!人生である。

その後はスポーツジムへ。本当はストレッチ後は筋力が低下するのでよくない順序だけど、今日はビバ人生なので許すことにした。2時間程度ウェイトトレーニングをする。SpotifyにBUMP OF CHICKENが参戦したので、それを大音量で聞きながら、ひたすら重いものを持ち上げる。曲が懐かしい。10年以上前に聞いていたBUMPを聞きながら変に感傷的になる。それも含めてビバ人生である。

トレーニング中、偶然、昔面倒を見てもらったパーソナルトレーナーと再会する。新しくジムを開く、という話を聞く。独立かぁ凄いなぁ。同い年ぐらいなのに。などと思う。年月を感じる。彼は、「ぜひ遊びに来てください!」と営業トークをしてくれたが、「いや、オムツ代で家計が厳しくて…」などと適当なことを言って済ます。まあ応援したい。応援する気持ちはある。気持ちはあるがお金はない。お互い頑張ろう。

その後、焼肉を食べに行く。ビールが半額、という看板を横目に、ノンアルコールビールを2杯飲んで豪遊。ごはんも大盛、焼肉の盛り合わせも食べる。おいしくて、なんかどうでもよくなってくる。運動してごはんを食べておいしくて、というのは人間の根源的な何か大事なところが満ちている気がする。ありがたいことだと思う。ビバ!人生である。

もうちょっと食べられる気がしたので、モスバーガーに行きテリヤキチキンバーガーを食べる。これにはマヨネーズが乗っている。近くて遠い存在だったマヨネーズが今目の前にあり、もうすでに胃の中にいる。おいしかった。ビバ!人生である。お土産にシュークリームを買う。帰宅することにした。

一日おいしいものを食べて重いものを持ち上げただけだが、かなり気分が上向いたのを感じた。ニヤニヤしながら歩く。シンプルな幸せを久しぶりに感じた。どうして忘れていたんだろうか。

自分がいて、意識があって、感覚があって、という当たり前のことが、当たり前ではない、理解できない奇跡が今起きている、ということに、なんだか感謝してしまった。そりゃニヤニヤもする。ありがとうありがとう。ビバ人生である。忘れていた。人生はビバ!なのだ。

電車に乗る。ちょうど帰宅の時間帯だった。僕にはみんな無表情に見えた。ニヤニヤしているのは自分ぐらいで、みんな表情がない。ムスッとしているように見えた。どうしてそんな顔をするのだろう。人生はビバなのに。

家に着いた。「ただいま、ありがとう」と僕は言い、奥さんは「おかえり」と言う。ちょうど娘にお乳をあげて寝かしつけようとしていた。奥さんは疲れていた。育児中なので、いつもそうではある。それなのに送り出してくれてありがとう、と思う。

娘にも「ただいま」と顔を近づけて言う。娘は、少しだけニコっとした。眠たいのだろう。

僕は風呂に入り、今日一日何があったかを妻と話した。たわいもないことだが、今ここに書いたように、ありのままに、楽しかった、ありがとうと伝えた。「背中がバキバキよ」と奥さんが言う。「ストレッチしてあげようか?」とマスターストレッチである僕は言う。でも、「いや、今は早く寝なよ」と言われてしまった。

じゃあ寝よう、おやすみ、と言った後、最後に奥さんは言った。

「久しぶりに笑ってるね」

そうか、そんなに僕は笑ってなかったのか、と気づいた。驚いた。奥さんには心配かけて申し訳ないと思う。よくわからないけど、強くありがとうと思うと同時に、なんか感動してしまった。その思いをぶつけたのが、ビバ人生という言葉であり、この文章でした。それではみなさん、おやすみなさい。

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