“すごいおじさん”と”むちゃすごいおじさん”

就職して働き始めた最初の頃、周りは”すごいおじさん”だらけで、自分はあんな風になれるのだろうか?と不安になるのが世の常である。

しかし、働き出して数年経つと、僕は二つのことに気づいた。

一つ目は、「気づいたら自分が”すごいおじさん”になっていた」ことだ。(新人から見たら)
二つ目は、「世の中には”すごいおじさん”と、”むちゃすごいおじさん”と言う2種類のおじさんがいる」と言うことだ。

もう少し具体的に説明しよう。
30歳くらいになると、新人の頃に「すごい」と思っていたことは、普通の僕にも、普通にできていることに気づく。慣れというか経験というか、なんとなくできちゃうのだ。


一方で、たまにそういうレベルを超越した”むちゃすごいおじさん”もいるのだ。”すごいおじさん”と、”むちゃすごいおじさん”の間には圧倒的な差がある。”むちゃすごいおじさん”はむちゃむちゃすごい。歳を取るにつれてどんどん伸びていって、よくわからん境地に立っている。グラフにするとこんな感じである。

“すごいおじさん”は、実は30歳ぐらいで急速に成長が鈍化していく。40,50になってもさほど能力的に大差がない。でも、一方の”むちゃすごいおじさん”は変わらず伸び続ける。

では、この違いはどこからくるのだろう?その理由について僕の仮説を述べたい。

働き始めの1年目の頃、普通の人は「必死に頑張っても少しのアウトプットしか出ない」と言う状態になる。これは仕方がない。パソコンで言えば、CPUがフル稼働している状態だ。ウンウンうなって、でもアウトプットは少ししか出ない。この状態を、CPU負荷は90%でアウトプットは1の状態だとしよう。

でも、働き始めて数年経つと、経験が溜まる。平たく言えば”慣れる”。ちょろっとやるだけでそれなりの成果が出る。CPU負荷は10〜20%ぐらいで、アウトプットは3くらい出せるようになる。

この状態が”すごいおじさん”である。新人は「楽々と自分の3倍ぐらいのアウトプットを出しているあのおじさんは”すごい”」となる。そしておじさんの方も「あれ?オレめちゃすごいんじゃね?」などと考え始める。だって、昔の1/3の力で3倍のアウトプットが出せるからだ。まさに「オレSUGEEEE!」状態である。

問題はここからである。

すごいおじさんは、現状の自分を”すごい”と考えるが、実際は、全く賢くなんかなっていない。これは単に”条件反射”で処理速度が速くなっているだけである。こうきたらこう、ツーと言えばカー、山と言えば川。彼らは単に”こう言うときはこうする”を高速で繰り返しているだけである。でも本人は、「俺は賢くなった」「これでいいのだ」と考えてしまう。すると、やり方を変えない。同じようなことを、同じように何年、何十年も、高速に繰り返すだけの”すごいおじさん”が生まれる。だから成長は頭打ちになる。すごいおじさんは、残念ながら何十年経っても、むちゃすごいおじさんにはなれない

一方で、できたCPUの余力を、新しいことに使い始めるおじさんもいる
「余裕ができたし、もっと上手くできないかやってみよう」「新しいことをやってみよう」とするおじさんがいる。経験を通じて生じたCPUの余力を使って、自らにさらなる負荷をかける。すると、CPU負荷率は90%程度にまた上昇する。

外から見ると、しばらくの間、アウトプットは大して変わらない。でも、やっているうちに慣れてきて、10%ぐらいの負荷で、10ぐらいのアウトプットがで始める。”むちゃすごいおじさん”の出来上がりである。

こうして、余力ができた”むちゃすごいおじさん”はどうするか?「うーん、できた余力で、もっと他のことや効率化をやってみよう」となる。これ以降は繰り返しである。トライして、余裕でできるようになって,できた余力でさらに・・・と言うループを延々とやり続ける。むちゃすごいおじさんは止まることが無い。こうして、むちゃすごいおじさんは、むちゃむちゃむちゃむちゃすごいおじいさんに向けて歩み続けるのである。

と言うことでまとめると

・働き始めて数年経ってパフォーマンスが上がるのは単なる条件反射で、賢くなった訳ではない。
・上記をもって”賢くなった”と勘違いして安住するのが、頭打ちになる”すごいおじさん”である。
・余裕ができてきた脳に、自分で負荷をかけるのを繰り返すと、満足して立ち止まった”すごいおじさん”を超越した”むちゃすごいおじさん”に進化する

と言うのが僕の仮説、持論である。

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