「中途入社として忌憚なき意見を聞かせて欲しい」の罠

「どうだねわが社は!中途入社だからこそ見える、わが社の問題点を是非、遠慮なく聞かせてほしい!」
・・・という上司の質問には、素直に答えると大体失敗してしまう。納得されなかったり、抵抗感を持たれたり。なぜだろう?と考えてみたのだけれど、上司と中途入社のあなたでは、想像している「あるべき姿」が違うからだという結論に至ったので、ここに考えをメモしておく。

中途で入社すると”問題点”が勝手に色々と見えてくる。あれはこうした方がいい、なんでこんなやりかたでやってるんだろう?みたいなことが次から次へと目につく。僕も勤務先の問題点と解決策を語れと言われたら、1時間でも2時間でも、口角泡を飛ばして大演説をキメことができる。

さて、ここで一歩引いて考えて、「問題」とはそもそもなんだろう?問題解決の本等を読むと、

“問題とは、目標と現状とのギャップである”

という定義がよく出てくる。現状がこうで、あるべき姿である目標がこうで、その間のギャップが問題である、という捉え方である。

では、中途入社の人の目に映る「問題」とは何だろうか。それは、今の勤務先を現状、以前の勤務先をあるべき目標として捉えたときのギャップである。つまり、前の職場のよい点を、あるべき目標と自然に捉えてしまい、今の職場の悪い点とのギャップが勝手に見えてくるのである。(別にこれ自体は悪いことではないと思う)

上司と中途入社のあなたが会話するときに、現状認識と、目標設定のどちらかに相違があると、当然、「何が問題か」についての話は食い違うことになる。

中途入社のあなたは、上司と同じ目標設定をしているだろうか?これは大体においてNOとなるのである。なぜなら、あなたの問題設定は、勝手に前職を理想としているからである。上司の目標設定は違うのである。

以上が、転職者が問題点を指摘しても、うまく共感を得られない理由だと思う。(まあ実際は、単に「批判されるのは嫌だ」というのも大きいが…)

僕は、転職して色々と経て、やっとこの理解にたどり着いた。

さて、もし社長に「わが社の問題点は?」と聞かれたら、こう答えるつもりである。

「社長は現状に満足してらっしゃるようなので、問題点は特にありません!」

ということで転職させて頂きます。

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