本の概要
投資本の要約をします。
今回の要約は、まぐれ―投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか です。
カテゴリ的には、「投資哲学」と言ったところでしょうか。
著者のタレブさんは、オプショントレーダーかつ大学教授で、「ブラックスワン」でも有名な人です。皮肉と教養とユーモアに富んだ本です。
全体の所感
投資本の中では、かなりおすすめの本で、投資哲学を養うのに一度は読んでおきたい本だと思う。
具体的なトレード手法を示す本ではない。投資・トレードを題材にした、人間に対する洞察を記した本。
事例や言い回しがちょっと冗長で長ったらしいのだけれど、それもいいところだと思う。この本で繰り返し伝えられるような「万が一の時に、破滅するようなポジションを取るな」というメッセージでも、単にそれを一言で言われるよりも、小説のような「ハイイールド債トレーダーのジョン」の話、さんざんイキり倒して、自分を有能なトレーダーだと思って生きてきて、最後には吹き飛ぶ話・・・を読み進めたほうが、人間が陥りやすい考え方や、ミスを、より生々しく理解できる。
色々と学んだ部分はあるのだけれど、ポイントを絞って書くと以下だろうか。独自の解釈を多く入れて書く。
- (投資の)世界に「絶対」はない。
- 突き詰めて考えると、哲学的な経験論に行きつく。「過去○○は一度も起きていない、ゆえに、今後も○○は一度も起きない」というロジックは破綻している。
- 万が一の時、死なないようになポジションを取る。
- 僕らはトレードするとき、過去の結果に基づいた理論を立てて、それに基づいて賭けをするしかない。
- ただその時、万が一の時に、破滅するようなポジションを取ってはいけない。間違っていた場合に払う代償を限定する必要がある。
- 大成功している人には、破滅しうるリスクを負いながら、それに気づいていないタイプの人がいる
- 市場はノイズであふれている。株価の変動の意味は線形ではない。小さい株価の変動に意味はない。大きい変動だけに注目するべき。
- プロスペクト理論(喜びより苦しみの方が大きい)のせいで、人は、「勝率が高いが利益は小さい、負ける時は大きく負ける」タイプの投資戦略にひきつけられてしまう。
- 滅多に起きない出来事には、適正な値段がつかないので優位性がある。
- タレブはこの優位性に賭けたトレード戦略をとっている
このあたりの投資哲学は、一撃死しないようにキッチリと損切するとか、ミネルヴィニさんの哲学にも通じるところがある。
各章の要約
各章ごとにまとめています。
#投資本要約
“まぐれ” ダイヤモンド社 プロローグ私たちは偶然が果たす役割を過小評価している。つまり「まぐれにだまされる」。そしてこの種の問題に対しては、人類の考えや行動は限界や欠陥があって、それを直そうと考えるのは無駄。
※「」は原題の”Fooled by Randomness”の日本語訳か。— ぶるいぬ (@blblinin) June 14, 2020
#投資本要約
“まぐれ” ダイヤモンド社 第1章ほどほどの成功者のトレーダーと、その10倍は稼いでいるトレーダーの対比。前者は極度にリスクを嫌っての成功。後者は破滅するほどのリスクを取っていることに気付いていない。中くらいの成功は能力と努力。大成功は不確実な結果のばらつきが原因。
— ぶるいぬ (@blblinin) June 14, 2020
#投資本要約
“まぐれ” ダイヤモンド社 第2章
成績は結果ではなくあり得た他の可能性のコストで測るべき。つまり働いて稼いだ金とロシアンルーレットで稼いだ金は同額でも価値が違う。現実がルーレットよりタチの悪い点は、破滅の確率が超低い点と、真の確率が分からない点。確率論は人には理解できない— ぶるいぬ (@blblinin) June 14, 2020
以下、4章の間違いです。
#投資本要約
“まぐれ” ダイヤモンド社 第3章
市場はノイズであふれている。避ける為には、長い時間をかけて蒸留された考えを好め。それは稀にしか起きない事象に抵抗力がある。
リスクを取れるのはわかってないから。
苦しみは喜びの2.5倍の衝撃力があるから、短い期間で成績を見ると疲弊する。— ぶるいぬ (@blblinin) June 15, 2020
#投資本要約
“まぐれ” ダイヤモンド社 第5章
「一番お金持ちのトレーダーが最悪のトレーダーであることは多い」つまり、短期的に見て市場に過剰に適応した結果、儲けているだけの、下手なトレーダーの存在を指摘している。しかし、期間を長く延ばして観ると、稀な事象は必ず起き、彼らは死ぬ。— ぶるいぬ (@blblinin) June 18, 2020
#投資本要約
“まぐれ” ダイヤモンド社 第6章
喜びよりも苦しみの方が大きい(プロスペクト理論)。だから人々は情緒的な理由で、「勝つ回数が多いが利益は少ない」かつ「ごく稀に大きく負ける」ような投資戦略にひきつけられてしまう。ゆえに滅多に起きない出来事には適正な値が付かない。優位性がある。— ぶるいぬ (@blblinin) June 18, 2020
#投資本要約
“まぐれ” ダイヤモンド社 第7章
今まで見た白鳥が全て白くても、黒い白鳥がいないとは言い切れない。同様に「過去に○%以上下がったことはない、だから今後も起きない」とは言えない。理論に基づいて賭けをしても、間違っていた場合に払う代償は限定するのが鉄則。黒い白鳥への予防が大事— ぶるいぬ (@blblinin) June 19, 2020
#投資本要約
“まぐれ” ダイヤモンド社 第8章
生存バイアスの話。書籍「となりの億万長者」に出てくる億万長者は生存者のみ。勝ち馬に投資できた運のいい奴だけが出てくるし、今後も同じように株式は9%のリターンを上げ続けるという前提の話をしている。人は一番よい結果を、代表だと思い込んでしまう。— ぶるいぬ (@blblinin) June 21, 2020
#投資本要約
“まぐれ” ダイヤモンド社 第9章
人生は偶然でいっぱい。ただの偶然の一致なのに、人は誤解しがち。例えば、誕生日が一致する人がいる確率とか。投資の成績も、単なる生存バイアスの可能性がある。特に、参加者の母集団が大きいほど、偶然による生存者の成績は、良くなることに注意しろ。— ぶるいぬ (@blblinin) June 22, 2020
#投資本要約
“まぐれ” ダイヤモンド社 第10章
非線形性について。たまたまの出来事と正のフィードバックが、経済での優位を決めることがある。マイクロソフトのOfficeを使うのは、皆が使い始めたから…のように。
経済の世界は非線形性があると知っておくのが大事。強い種類の不確実性が存在する。— ぶるいぬ (@blblinin) June 23, 2020
#投資本要約
“まぐれ” ダイヤモンド社 第11章
1日に1ドルずつ儲かり、稀にそれを一気に失うトレード戦略は快・不快で言えば快。だから皆そんな戦略を取りたがる。
ノイズに理由をつけるな。世界で本当に何か起きているかを知るコツは、価格の変化率が大きい時だけ注意すること。重要度は線形ではない— ぶるいぬ (@blblinin) June 28, 2020
#投資本要約
“まぐれ” ダイヤモンド社 第12章
合理的に考えて行動するのは難しい。
僕らには、安易に因果関係を思い浮かべてしまうバイアスがあるし、確率の計算に基づいて合理的に得られた結論に、本能は従えない。どう行動すべきかはみんな知っているが、問題なのはどうやって実行するかなのだ。— ぶるいぬ (@blblinin) June 30, 2020
#投資本要約
“まぐれ” ダイヤモンド社 第13章
トレーダーは過去に囚われず意見を変えられるべき。そんな特徴がはっきりした有名人にジョージソロスがいる。自分のアイデアと結婚せず、すぐに変えることができる。対照的なのは学者で、吹き飛んでも理論の誤りを認めず、非常に稀な出来事として片付ける— ぶるいぬ (@blblinin) July 1, 2020
#投資本要約
“まぐれ” ダイヤモンド社 第14章
英雄は結果で判断されるのではなく、とった行動で評価される。偶然に結果を左右される、我々トレーダーもそうだ。偶然に振り回されて、感情を抱くのは恥じることではない。ただ、確率と対等の立場に立とうとしよう。それが理性主義だ。— ぶるいぬ (@blblinin) July 2, 2020
#投資本要約
“まぐれ” ダイヤモンド社
このツイートで要約は終わり。「まぐれ」という題名のせいで、「投資での成功は全部まぐれ」と言ってる本と勘違いされがちだけど、違うかった。原題の「ランダム性に騙される」が正しくて、そんな人間の特性について述べた本だった。 https://t.co/8TyKmHMUwH— ぶるいぬ (@blblinin) July 5, 2020
おわりに
投資家・トレーダーとして生き残るためには、一読の価値がある本だと思った。生き残るための投資哲学を、生々しい事例・お話を通じて、科学的な見地から書いた本、という意味で、素晴らしい立ち位置の本だと思う。
投資本の要約は、Twitterでもやっているので、そちらも是非どうぞ。
ふ・・・ふざけるなよ・・・!
戦争だろうが・・・!
思ってるうちはまだしも
投資方針に口出ししたら・・・
戦争だろうがっ・・・!
戦争じゃねぇのかよっ・・・!
くそっ・・・!— ぶるいぬ (@blblinin) October 4, 2020